2026.03.04
家での練習に欠かせない電子ピアノ。「ご近所迷惑にならないように」「家族がテレビを見ているから」と、ボリュームのつまみをかなり小さく絞って練習していませんか?
実は、その「気遣い」があなたのピアノの上達をこっそり邪魔しているかもしれません。電子ピアノならではの便利なボリューム調節機能ですが、設定を間違えると、取り返しのつかない「変なクセ」がついてしまうことがあるのです。
今回は、意外と知られていない電子ピアノの音量と上達の深い関係について、プロの視点から紐解いていきましょう。
目次
音が小さいと、脳が「もっと強く叩け」と命令する

電子ピアノのボリュームを半分以下に絞った状態で弾いていると、人間の耳と脳は「音が足りない、もっとしっかり鳴らしたい」と無意識に判断します。すると、本来は優しく触れるだけでいい場面でも、指先にグッと力を込めて鍵盤を叩きつけるように弾くクセがついてしまいます。
これが、いわゆる「叩き弾き」の始まりです。一度このクセがつくと、本物のピアノ(アコースティックピアノ)を弾いたときに、すべての音がうるさく、乱暴に響いてしまうようになります。道具のボリュームを下げる代わりに、自分の指の力で音量を稼ごうとしてしまう。これが、電子ピアノユーザーが最も陥りやすい罠なのです。
表現力が死んでしまう?強弱(ダイナミクス)の感覚が狂うワナ
ピアノ演奏の醍醐味は、ささやくような「ピアノ(弱音)」から、堂々とした「フォルテ(強音)」までの幅広い表現力にあります。
ところが、全体の音量を小さく設定しすぎると、この「幅」が極端に狭くなってしまいます。弱く弾いても音がほとんど聞こえないため、結局「そこそこ強い音」から「めちゃくちゃ強い音」の間でしか弾かなくなってしまうのです。
これでは、ポップスの繊細なバラードを弾いても、一本調子で平坦な演奏に聞こえてしまいます。ボリュームを適切に上げることは、単に音を大きくすることではなく、あなたの指先が持つ「表現の引き出し」を広げることでもあるのです。
指や手首を痛める原因に。不自然な力みの正体
小さな音量で無理にしっかり鳴らそうとすると、指先だけでなく手首や腕全体に余計な力が入ります。電子ピアノの鍵盤は、構造上、本物のピアノよりも底を打った時の衝撃がダイレクトに手に伝わりやすいモデルも多くあります。
「音が小さいから」と力任せに叩き続けることは、知らず知らずのうちに手首や関節に大きな負担をかけています。「練習するとすぐに手が疲れる」「最近、手首が痛む」という方は、一度自分のボリューム設定を疑ってみてください。脱力の第一歩は、実は「音量を上げること」から始まる場合も少なくありません。
理想のボリュームは?生ピアノの音量に耳を慣らそう

では、具体的にどのくらいのボリュームにするのが正解なのでしょうか?
理想は、「生のアコースティックピアノを弾いた時と同じくらいの音量」に設定することです。具体的には、電子ピアノのボリュームつまみを「3/4(75%)」から「MAX(100%)」に近い位置に持ってくるのが、本来の楽器としての鳴り方に近くなります。
もし夜間の練習などでそれが難しい場合は、無理にスピーカーの音を絞るのではなく、「ヘッドホン」を活用しましょう。ヘッドホンであれば、周囲に迷惑をかけずに、本物のピアノに近い迫力と音量のバランスで練習することができます。
ヘッドホンを使う場合は、聴力を損なう恐れがあるため、大音量・長時間の練習には十分に注意してくださいね。
まとめ|適切な「音量」が、あなたのタッチを正しく育てる
電子ピアノは非常に便利な道具ですが、その便利さが時には上達の壁になってしまうことがあります。ボリュームの設定一つで、あなたの指の使い方も、音楽に対する耳の育ち方も劇的に変わります。
「大きく鳴らすのはちょっと怖い」と感じるかもしれませんが、適切な音量で練習することで、初めて「力を抜いて弾く」という本当のテクニックが身につくようになります。
今日から、ボリュームのつまみを少しだけ右に回してみませんか?あなたの指先から生まれる音が、今までよりもずっと表情豊かに、そして生き生きと響き始めるはずです。
「自分の練習方法、これで合ってる?」と不安になったら
Hanaポップスピアノでは、電子ピアノをお使いの方にも、
正しいタッチや表現方法を一人ひとりに合わせてレクチャーしています。
効率よく、そして何より楽しく上達するためのコツを一緒に学びましょう!

