1992年の発売から30年以上経った今でも、イントロが流れるだけで胸がキュッとなる名曲『もう恋なんてしない』。失恋の痛みを描きながらも、どこか冬の澄んだ空気のような爽やかさを感じさせるのは、槇原敬之さんの卓越した「コード(和音)選び」に理由があります。
「ピアノで弾いてみたいけれど、なんだか難しそう……」と思っている方も多いかもしれません。でも、あの独特の響きの正体を知ると、ピアノを弾くのがもっと楽しくなるはずです。今回は、音楽理論を詳しく知らない方でも楽しめる、魔法のコード進行の秘密を覗いてみましょう。
目次
なぜ「切ないのに前向き」に聞こえるの?
この曲の最大の魅力は、歌詞の切なさと、メロディの明るさの絶妙なバランスです。音楽の世界では、暗い響きの「マイナーコード」と、明るい響きの「メジャーコード」をどう組み合わせるかが重要になります。
『もう恋なんてしない』では、主要な部分に明るいコードを使いつつ、ベース(低い音)の動きで「切なさ」を演出しています。これにより、「悲しいけれど、一歩前に進まなければならない」という主人公の複雑な心情が、音そのものから伝わってくるのです。
マッキーマジックの核「オンコード(分数コード)」
ピアノでこの曲を弾く際、楽譜に「C/E」や「G/B」といった不思議な記号を見たことはありませんか?これが「オンコード(分数コード)」と呼ばれる、槇原サウンドには欠かせない要素です。
これは「右手はCという和音を弾くけれど、左手(ベース音)はEを弾いてね」という意味。あえて一番低い音をズラすことで、音が階段を降りるように滑らかに繋がり、独特の浮遊感とノスタルジックな響きが生まれます。
初心者の方は、まずはこの「左手の動き」を意識するだけで、一気に原曲らしいオシャレな雰囲気が出せるようになりますよ。
サビで心をつかむ「Sus4」の絶妙な緊張感
サビの盛り上がりで、ふっと心が震える瞬間がありますよね。あそこには「Sus4(サスフォー)」というコードが使われていることが多いんです。
Sus4は、和音の真ん中の音を少し吊り上げた、少し不安定な響きが特徴。「まだ答えが出ていない」「何かが足りない」という未完成な美しさを表現するのにぴったりな音です。
この「不安定な音(Sus4)」から「安定した音(メジャーコード)」へ解決する瞬間に、聴いている人は心地よい解放感を感じます。槇原さんはこの緊張と緩和の使い方が本当に天才的なんです。
初心者がこの曲をマスターするための練習順序
いきなり難しいオンコードを全てこなそうとすると、指が止まってしまいます。まずは以下のステップで楽しみながら練習してみましょう。
1. メロディを口ずさみながら、左手のベース音だけを弾く
実は、左手の音を追いかけるだけで、この曲の「ストーリー」が見えてきます。
2. 右手はシンプルな「3つの音(三和音)」で合わせる
楽譜の複雑な飾りは一旦無視して、コードの基本の音だけを弾いてみましょう。これだけでも、十分に『もう恋なんてしない』の美しい世界観が再現できます。
3. 最後に「オンコード」の響きを意識する
基本に慣れてから、左手の音をオンコードの指定通りに変えてみてください。その瞬間に、音が「プロっぽく」変わる魔法を体験できるはずです。
まとめ|コードを知れば音楽はもっと近くなる
『もう恋なんてしない』は、ただのヒット曲というだけでなく、ピアノで弾くことで音楽の奥深さを教えてくれる、まさに「教科書」のような一曲です。
コードのひとつひとつに込められた「優しさ」や「切なさ」を感じながら弾く時間は、忙しい日常の中で心を癒やす最高のご褒美になります。完璧に弾こうとしなくて大丈夫。あなたの指先からこぼれる音が、誰かの(あるいは自分自身の)心を温める花束になりますように。
Hanaポップスピアノで「自分らしい音」を見つけませんか?
「もう恋なんてしない」のあのイントロ、自分で弾けたら素敵だと思いませんか?
Hanaポップスピアノでは、難しい理論よりも「弾きたい!楽しい!」という気持ちを大切にしています。初心者の方でも、コードの仕組みを遊び感覚で学びながら、憧れのポップス曲をマスターできるよう丁寧にサポートいたします。

