2025.12.8

目次

  1. はじめに:「ドミソ」だけだと、なんとなく子供っぽい?
  2. 魔法その1:都会的な響きになる「お隣さん」の音(メジャーセブンス)
  3. 魔法その2:キラキラした透明感を出す「挟み込み」の音(アドナインス)
  4. 注意点:スパイスは「かけすぎ」に注意!
  5. まとめ:名前なんて覚えなくていい、響きを楽しもう

はじめに:「ドミソ」だけだと、なんとなく子供っぽい?

ピアノでポップスを弾きたいと思って楽譜を開いたとき、または耳コピをしようとしたとき、こんなふうに思ったことはありませんか?

「コードは合ってるはずなのに、なんかCDと違う……」 「私のピアノ、童謡とか校歌みたいに聞こえる……」

わかります、その気持ち。 楽譜に「C」と書いてあるから、真面目に「ド・ミ・ソ」と弾く。もちろんそれは間違いではありません。基本中の基本です。 でも、J-POPやCity Pop、ジャズっぽい曲を弾くとき、この基本の「3つの音(トライアド)」だけだと、響きが素直すぎて、どうしても「子供っぽい」「単純」な印象になってしまうことがあるんです。

あのおしゃれなお店で流れているような、なんとなく切なくて、洗練されたピアノの音。 あれを出すには、分厚い理論書を読んで勉強しないといけないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません! 実は、いつもの「ドミソ」に、指を一本足すだけ。 たったそれだけで、劇的に音が変わるんです。 今日は、難しい理論用語は一旦ゴミ箱に捨てて、「指の場所」だけで覚える魔法のレシピをご紹介します。

魔法その1:都会的な響きになる「お隣さん」の音(メジャーセブンス)

まず一つ目は、曲を一瞬で「大人っぽく」「切なく」する魔法です。 Official髭男dismや、King Gnu、そして一昔前のCity Popなどによく使われている、あの「浮遊感」のある音です。

専門用語では「メジャーセブンス(M7)」と言いますが、名前は覚えなくて大丈夫。 やることはこれだけです。

★いつもの「ド・ミ・ソ」に、一つ下の「シ」を足す

鍵盤を見てください。高い「ド」のすぐ左隣にある、白い鍵盤の「シ」です。 右手で「ド・ミ・ソ」を弾きながら、小指で「」も一緒に押してみてください。 (弾きにくければ、左手で「ド」、右手で「ミ・ソ・シ」と弾いてもOKです!)

どうですか? 「ジャーン!」という元気な音ではなく、「シャラ~ン……」という、少し霧がかったような、おしゃれな響きになりませんか?

この「シ」の音は、ルート(根っこ)の音である「ド」から見て、ひとつ前の音。 本来、「ド」に行きたいのに、あえて一歩手前で止まっているような、解決しきらない「未練」のような響きを持っています。 これが、楽曲に「エモさ」や「都会的な雰囲気」を与えてくれるのです。

「F(ファ・ラ・ド)」のコードなら、「ファ」の一つ下の「ミ」を足すだけ。 たったこれだけで、あなたのピアノが一気にカフェのBGMのような雰囲気に変わります。

魔法その2:キラキラした透明感を出す「挟み込み」の音(アドナインス)

二つ目は、現代のポップスには欠かせない、爽やかでキラキラした響きを作る魔法です。 YOASOBIや、最近のボカロ曲、アニソンなどで非常によく耳にします。

専門用語では「アドナインス(add9)」と言います。これも名前は無視して、指の場所だけ覚えましょう。

★いつもの「ド・ミ・ソ」に、お隣の「レ」を足す

今度は高い「ド」のすぐ右隣にある「レ」です。 「ド・ミ・ソ・レ」と、4つの音を同時に鳴らしてみてください。この時のポイントは、低いほうの「レ」を弾いて、 「・レ・ミ・ソ」にしないことです。

「ド」と「レ」、そして「レ」と「ミ」が隣り合っていると、音がぶつかって濁ってしまいます。けれど、「レ」を1オクターブ上げて弾いてみるとどうでしょう。 濁るどころか、すごく「透明感」が出ませんか? パッと視界が開けるような、青春映画のワンシーンのような響きです。

この「レ」の音(ナインス)は、音に「広がり」と「輝き」をプラスしてくれます。 バラードのイントロや、サビの最後で「ジャ~ン」と伸ばすときに、この「レ」を混ぜるだけで、ピアノの音が何倍も高級に聞こえますよ。

注意点:スパイスは「かけすぎ」に注意!

ここまで「指一本足すだけ」の魔法をお伝えしましたが、一つだけ注意点があります。 それは、「すべてのコードでやればいいわけではない」ということです。

料理に例えるなら、この「7番目の音(シ)」や「9番目の音(レ)」は、スパイスです。 カレーにスパイスを入れると美味しくなりますが、お味噌汁にもケーキにもお茶にも全部スパイスを入れたら、さすがに味がわからなくなりますよね?

それと同じで、すべてのコードに音を足しすぎると、曲の輪郭がぼやけてしまったり、メロディとぶつかって不協和音になったりすることがあります。

  • 曲の終わりの、長い音符のところ
  • イントロの静かなところ
  • 「ここで雰囲気を変えたい!」というキメのところ

まずはこういう箇所で、隠し味のように「パラッ」と音を足してみるのがおすすめです。

まとめ:名前なんて覚えなくていい、響きを楽しもう

「音楽理論」と聞くと、数学のような難しいルールのように感じるかもしれません。 でも本来、理論というのは「この音が気持ちいいのはなぜ?」という現象に、後から名前をつけただけのものです。

「Cmaj7」という文字を見て頭を抱える必要はありません。 「あ、これはドミソに『シ』を足して、エモくしたいんだな」 「add9ってことは、キラキラさせたいんだな」 そんなふうに、「どんな雰囲気にしたいか」で捉えてみてください。

今日からピアノを弾くとき、たまにでいいので、いつものコードに「指一本」冒険させてみてください。 「あ!この響き好き!」という発見こそが、あなただけの最高のアレンジになりますよ。


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