「指がまわる」。
音楽をやってる人なら、一度は耳にしたことがあるこの言葉。
ピアノの練習をしていて「もっと指がまわるようになりたい」とか、「あの人、指まわりすぎて意味わからん」みたいな会話、ありませんか?
でも、そもそもこの「指がまわる」って、なんなんでしょう。どんなときに必要で、何を指しているのか。そして、ポップスピアノを弾く私たちにとって、本当に「回らないと」ダメなのか?
今回はそんな疑問を、ちょっと深掘りしていきます。
「指がまわる」って何のこと?
まず、「指がまわる」というのは、文字通り、ピアノを弾くときに指がスムーズに動くことを指します。
音が多いパッセージ、テンポが速いフレーズ、複雑なリズム。こういったものを、指のもつれなく、音楽的に演奏できる状態。クラシックでいうところの、ショパンのエチュードやリストの超絶技巧練習曲を、汗一つかかずに弾きこなせる感じ。そう、あれです。
語源としては、「舌がまわらない(=うまく話せない)」という表現の親戚のようなもので、「指がまわる」はいわば楽器演奏における“滑舌”。
ちゃんとした訓練を受けてきた音大生やプロのクラシックピアニストの間では、これが当たり前とされていて、できないと…まあ、正直ちょっとバカにされることもあります。
ポップスピアノに「指がまわる力」は必要?
ここが本題です。
昔、ポップスピアノって「クラシック挫折組の逃げ場」みたいに見られていた時代がありました。「譜読み苦手だし、クラシックは性に合わないし、でもピアノは好き…じゃあポップスでいいか」みたいな空気感。
でも今、そんな甘い時代は終わっています。
DTM(デスクトップミュージック)の発達、AIによる伴奏生成、SNSで共有される超絶テクの数々…。ポップスピアノの演奏レベル、めちゃくちゃ上がってます。
特にYouTubeやTikTokで活躍してるピアニストたちの演奏を見るとわかりますが、あの人たち、みんな指まわりすぎです。
例えば、アニメソングをアレンジしたハイテンションなカバー。速弾きのユニゾン、リズムの崩し、ジャズ風の装飾音…。指がまわらないと、そもそも演奏に“参加”できない時代になりつつあります。
とはいえ、ポップスは平和。
でも、それでも、ポップスピアノには救いがあります。
クラシック界ってどうしてもヒエラルキーが強くて、音大生どうしのマウントや陰口がありがち(全部がそうじゃないけど、あるあるです)。「あの人、あのレベルでレッスンしてるの?」とか、「あんな指まわってないのにリサイタル?」みたいな。
でもポップスはもっとニュートラルでフラットな世界です。
指がまわらない人をSNSでバカにする…そんな投稿、あまり見ませんよね?
それより、「初心者ですけど楽しんで弾いてます!」という姿に、「いいね!」が集まる。そういう世界。
敷居が低い。
いや、正確には「敷居の高さを押しつけない」世界と言った方が正しいかもしれません。
じゃあ、敷居ってなに?
「敷居が高い」って、本来は「一度関係を断った相手の家に行きづらい」って意味だったりしますが、今は「心理的ハードルが高い」というニュアンスで使われます。
クラシックピアノは、まさにこの「ハードルの高い世界」。 上手に弾くこと、指がまわること、きちんと楽譜を読めること、品格を持つこと──ぜんぶ要求されます。
その分、社会的な評価や“上流”との接点は得やすいです。お金持ちの家に呼ばれて弾くとか、コンサートホールでステージに立つとか、そういうチャンスが現実的にあります。
でも、ポップスピアノの世界は違う。友達が増える世界です。
SNSで気の合う人とつながれる。ライブで一緒に演奏できる。趣味として音楽を楽しみ、共有し、支え合える。そんなあたたかい土壌があります。
最後に:幸せって、なんだっけ?
結局、「指がまわる」ことは、幸せの必要条件じゃない。
技術は手段であって、目的じゃない。
クラシックにしろ、ポップスにしろ、自分の音を誰かに届けたい、自分の音で誰かとつながりたい──その気持ちがあるなら、指がまわろうがまわるまいが、ちゃんと音楽なんです。
でも、もしあなたがポップスの世界でちょっと背伸びしてかっこいいアレンジをしたいと思ったとき。ちょっと速いフレーズを弾きたいと思ったとき。
そのとき、「指がまわる」力は、あなたの武器になります。
誰かとバンドを組んだとき、ステージに立ったとき、自分の表現を解放したいとき──そのすべてに役立ってくれる。
だから、気が向いたら、ちょっと練習してみましょう。
「指がまわる」ことは、幸せのすべてじゃない。
でも、「指がまわる」と、音楽はもっと楽しくなるかもしれない。
指が回るピアノをめざしたい名古屋周辺の方、ぜひHanaポップスピアノで上達してみませんか。お待ちしております!
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