2026.7.9

ピアノの楽譜を買ってきて、ワクワクしながら練習を始めたものの、最後まで弾けるようになる前に挫折してしまった経験はありませんか。

最初の数ページはスラスラ弾けるのに、中盤から急に難しくなって嫌になり、気がつけばその楽譜は本棚の奥に眠っている……。そんなパターンに陥ってしまう人は少なくありません。

実は、ピアノで1曲を最後まで完成させるためには、がむしゃらに最初から最後まで通して弾き続けるのではなく、しっかりとした練習計画を立てることが不可欠です。行き当たりばったりの練習では、どうしても途中でモチベーションが切れてしまいます。

そこで今回は、1曲を確実に最後まで仕上げるための具体的な練習計画の立て方についてお話ししていきます。初心者の方でも今日からすぐに実践できる内容ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

曲全体をいくつかの区間に分ける

新しい曲に取り組むとき、いきなり1小節目から最後の小節までを通して弾こうとするのは、あまりおすすめできません。理由は単純で、覚えるべきことや指を動かすための情報量が多すぎるからです。

人間が一度に処理できる情報には限界があるため、長い曲をそのままの状態で飲み込もうとすると、すぐにパンクしてしまいます。まずは、曲全体をいくつかの小さな「区間」に分けてみましょう。

ポップスであれば、「イントロ」「Aメロ」「Bメロ」「サビ」「エンディング」といった具合に、歌のまとまりごとに区切るのが一番わかりやすいです。クラシックの曲であっても、「提示部」「展開部」「再現部」といった大きな区切りや、8小節から16小節程度のメロディのまとまり(フレーズ)ごとに線を引いていくことができます。

楽譜をコピーして、色付きのペンで線を引いてブロックごとに番号を振ってみるのも効果的です。たとえば「ブロック1からブロック5まである」と視覚的に把握できるだけで、曲全体の見通しがぐっと良くなります。

区間に分けたら、1日の練習目標を「今日はブロック1の右手だけ」「明日はブロック2の両手」というように細かく設定します。小さな目標をひとつずつクリアしていくことで、「今日も少し弾けるようになった」という達成感を得やすく、練習へのモチベーションを維持しやすくなります。

長い階段を一気に駆け上がるのではなく、一段ずつ確実に登っていくようなイメージを持つと良いでしょう。

難しい場所と弾きやすい場所を分けて考える

曲をいくつかの区間に分けたら、次はそれぞれの区間の「難易度」を自分なりに評価してみます。楽譜をざっと見渡したり、実際に少し音を出したりしてみて、「ここはすんなり弾けそうだな」という場所と、「ここは指の動きが複雑で時間がかかりそう」という場所を分類していく作業です。

ピアノの練習でよくある失敗が、いつも曲の最初から弾き始めてしまい、得意なところばかり何度も弾いてしまうことです。その結果、最初のAメロは完璧に弾けるのに、サビの難しい部分に差し掛かるといつも指が止まってしまう、というアンバランスな状態が生まれます。

これを防ぐためには、難しい場所と弾きやすい場所を明確に分け、練習時間を配分することが肝心です。難所(難しい場所)には、全体の練習時間の7割から8割を割くくらいの気持ちで向き合ってみてください。

難しい場所の練習では、さらに細かく分解することが大切です。テンポを思い切り落とす、右手と左手を別々に練習する(片手練習)、あるいはうまく弾けない1小節、極端な場合は2つの音の移動だけを何度も繰り返すといった地道な作業が必要です。

一方で、弾きやすい場所は、軽く確認する程度で十分です。難所がスムーズに弾けるようになってきたら、その前後の弾きやすい部分と繋げて弾く練習に移行します。自分の弱点にしっかりと時間を投資することで、曲全体の完成度は飛躍的に高まります。

もしどうしても弾けない箇所があったら、無理に元のテンポで弾こうとせず、ゆっくりと確実に指に覚え込ませることを優先してください。急がば回れという言葉の通り、ゆっくり弾く練習こそが、結果的に最も早く上達するコツになります。

最後は通し練習・録音・仕上げの確認を行う

それぞれの区間が弾けるようになり、難所の克服も進んできたら、いよいよ全体の仕上げに入ります。ここで初めて、曲の最初から最後までを止まらずに弾く「通し練習」の出番です。

通し練習の目的は、曲全体の流れやスタミナを確認することです。部分練習ではうまく弾けていたのに、続けて弾くと息切れしてしまったり、集中力が途切れてミスをしてしまったりすることがあります。

本番や人前で弾くことを想定し、途中で間違えても絶対に止まらず、最後まで弾ききる訓練をします。間違えた箇所でいちいち弾き直してしまうと、「止まって弾き直す」という癖がついてしまうため注意が必要です。

そして、この仕上げの段階で非常に有効なのが、自分の演奏を客観的に聴くことです。最後は通し練習・録音・仕上げの確認を行うことで、演奏のクオリティを確実なものにすることができます。

スマートフォンなどの録音機能を使って自分の演奏を録音し、通して聴いてみましょう。録音を聴くのは、最初は少し勇気がいるかもしれません。自分の想像よりもたどたどしかったり、ミスタッチが目立ったりして落ち込むこともあるでしょう。

しかし、「思ったよりテンポが揺れているな」「ここのメロディの音が少し乱暴に聞こえるな」といった、弾いているときには気づかなかった改善点がはっきりと見えてくるはずです。録音を聴いて気づいた課題をもう一度部分練習で修正し、再び録音する。このサイクルを繰り返すことが、曲を高いレベルで仕上げるための最短ルートになります。

まとめ:焦らず自分のペースで完成させよう

ピアノで1曲を最後まで仕上げるためには、ただ漠然と楽譜の最初から弾き続けるのではなく、戦略的なアプローチが欠かせません。

曲をいくつかの区間に分け、難しい場所を重点的に練習し、最後は録音を活用して客観的に仕上げる。この手順を踏むことで、どんな曲でも着実に自分のレパートリーにすることができます。

ピアノの練習は、どうしても地道な作業の連続になります。しかし、計画を立てて小さな目標を達成していくプロセスそのものを楽しむことができれば、挫折することなく最後までたどり着けるはずです。焦らず自分のペースで、少しずつ進んでいきましょう。気づけば、憧れの曲を最後まで気持ちよく弾ききっている自分に出会えるはずです。

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