――気持ちよく弾くために、気まずくならない工夫を

社会人になって、ようやく念願のピアノのある暮らしができるようになった──そんな喜びを感じている方も多いのではないでしょうか。
学生時代に通っていた音楽教室、家族の実家にあったアップライトピアノ、夜な夜な弾いていた電子ピアノ……社会人になった今、自分のペースで弾けることは大きな幸せです。

ですが、集合住宅という環境では、「弾ける=自由に鳴らしていい」ではないのが現実です。ご近所トラブルに発展してしまうと、音楽の楽しみどころか、生活そのものに支障が出てしまうこともあります。

この記事では、実際の体験談やよくあるトラブルの声を踏まえて、「集合住宅でピアノを気持ちよく弾き続けるための実践的な注意点」をまとめました。


1. 夜間の電子ピアノは「イヤホン必須」

電子ピアノなら大丈夫、と思いがちですが、実はスピーカー音でも苦情は発生します。特に夜間、建物構造によっては音が想像以上に響きます。
実際に、夜に電子ピアノを使っていた入居者がいた集合住宅では、「〇〇号室の音がうるさい」とエントランスに警告文が掲示された事例もあります。

対策: 夜間や早朝は、必ずイヤホンを使用しましょう。できればピアノ側のボリュームも抑え気味にするとより安心です。


2. 防音室を導入するなら、ヤマハ・アビテックス一択

もし本格的に防音対策を検討するなら、選ぶべきはヤマハの「アビテックス」です。これは広告ではなく、数々のユーザーのレビューや比較結果から見ても性能は頭一つ抜けています。

  • 遮音性能(Dr値)も明記されており、近隣や階下への音漏れを大幅にカット
  • サイズ展開も豊富で、アップライトピアノ、グランドピアノ用のブースも選べる
  • 設置後の防音トラブルが激減したという声多数

補足: 導入の際には管理会社への許可が必要なことが多いため、事前相談は忘れずに。なお、「防音室設置=トラブルゼロ」ではない点も後述します。


3. 電子ピアノでも「キコキコ音」は下に響く

意外な落とし穴として多いのが、ペダル操作時の機械的な音や、椅子のきしみ音、鍵盤を叩く打鍵音です。
特に、床材が薄い築年数の古いマンションやアパートでは、こうした小さな振動音が下の階に伝わることがあります。

対策:

  • 電子ピアノの下には防振マットや**吸音ラグ(厚手のカーペット)**を敷く
  • 椅子の脚にもフェルトやゴムパッドをつける
  • ペダルの構造により、音が大きい場合はゴムカバーを装着するのも有効

4. 生ピアノを使うなら「練習時間」は常識的に

生ピアノは豊かな響きが魅力ですが、防音設備のない部屋ではその響きが壁・床を通してダイレクトに漏れます
音楽仲間の中には「苦情を受けて泣く泣くピアノを手放した」という人もいます。

無難な練習時間の目安:

  • 朝:9時半~10時以降に開始(早すぎるとクレームになりやすい)
  • 夜:8時~9時までに終了(響きが残るため、少し早めに切り上げるのが吉)

注意点:
下の階の住人が退職されたご高齢の方や在宅勤務の人であれば、日中でも苦情につながる可能性があります。逆に、独身の会社員で日中は不在という場合は比較的余裕がありますが、あくまでケースバイケースです。


5. 防音工事をしたからといって「伝えないほうが得」な場合も

防音対策をしたから安心、と思って、「ちゃんと防音工事しました」と下の住人に報告する方もいます。
しかし、実際にはそれが逆効果になるケースも。

理由:
「防音している=以前より音が出るようになったのでは?」という心理的な警戒心を生むことがあります。
また、わずかな打鍵音や椅子の動く音が気になるようになり、「以前より神経質に聞こえるようになった」と感じさせてしまうことも。

対応のコツ:

  • 事前報告は最低限にとどめる
  • 苦情が出たら、「今後は配慮します」と淡々と対応する
  • 無理に説明しすぎず、普段の生活音も静かに保つ努力をする

まとめ:音楽を楽しみ続けるために、無理なくできる工夫を

集合住宅でピアノを弾くということは、「音を出す自由」と「周囲への配慮」を常に天秤にかける生活とも言えます。
もちろん、音楽を楽しむ権利は誰にでもあります。しかし、それを継続するためには、ちょっとした気配りや設備投資、時間帯の工夫が欠かせません。

一番大切なのは、ご近所さんとの良好な関係自分自身のリスク管理意識です。
注意を怠れば、最悪の場合、苦情や騒音トラブルでピアノを手放すことにもなりかねません。

「ピアノを自由に弾きたいから防音室を買う」というよりも、
弾き続けるために、今できる対策を丁寧に行う」という姿勢が、長く音楽とつき合うための秘訣です。

音を出せることのありがたさを忘れずに、今日も静かに、そして気持ちよく鍵盤に触れましょう。


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