目次
- 「Lovers」とsumikaの世界観
- ポップスにおけるピアノイントロの役割
- 「Lovers」のイントロ分析:和音と分散和音
- 軽やかさを生むリズムの仕掛け
- イントロから広がる楽曲全体のイメージ
- まとめ:なぜあのイントロは心をつかむのか
1.「Lovers」とsumikaの世界観
2014年にリリースされたsumikaの代表曲「Lovers」。『痛快TV スカッとジャパン』のテーマソングにも起用され、一気にバンドの知名度を押し上げた楽曲です。
sumikaの音楽は、耳に残るキャッチーさと、日常を少しだけポップに彩るセンスが特徴的ですが、その真骨頂が「Lovers」のピアノイントロに凝縮されています。
リスナーの多くは「聴いた瞬間にハッとする」「なんだか爽やかな朝みたい」といった感覚を持つはずです。音楽理論を知らなくても、イントロの時点で心が弾むのは偶然ではなく、きちんとした仕掛けが隠されているのです。
2.ポップスにおけるピアノイントロの役割
イントロは曲の「顔」と呼ばれます。数秒でリスナーを惹きつけられるかどうかが、その後の印象を左右します。特にポップスでは、ギターのカッティングやドラムのフィルインが目立ちますが、「Lovers」はあえてピアノを前面に押し出しています。
ピアノは「歌に寄り添う」楽器として扱われがちですが、イントロで主役になると、聴き手に安心感と知的な明るさを同時に与えることができます。まるで「これから始まる物語は、爽快で、でもちょっと切ないよ」とナレーションしているような役割を果たすのです。
3.「Lovers」のイントロ分析:ピアノが歌うメロディ
「Lovers」のイントロは、ピアノが伴奏ではなく“主旋律”を担当しているのが大きな特徴です。つまり、のちにボーカルが歌うフレーズの核を、最初にピアノがハッキリと提示しているのです。
聴いた瞬間に口ずさめるキャッチーさがあり、食い気味に入るリズムや軽やかな跳ね感が加わることで、イントロだけで「爽快でポップ」な空気が漂います。
このようにイントロでメロディを先出しすることで、リスナーは無意識に曲のフックを覚え、ボーカルが入った瞬間に「知っている感じ」で受け止められる。これが「Lovers」のイントロが人を引き込む最大の秘密なのです。
4.軽やかさを生むリズムの仕掛け
もう一つ注目すべきはリズムの刻み方です。
「Lovers」のピアノは、ただ和音を並べているわけではなく、跳ねるようなリズムを持っています。シンコペーションを混ぜることで、軽やかな浮遊感が生まれているのです。
これは「歩く」よりも「スキップ」に近い感覚。聴く人は無意識のうちに身体が弾み、曲全体のポップさを直感的に理解してしまう。音楽的にはシンプルでも、心理的には非常に巧みな設計といえます。
5.イントロから広がる楽曲全体のイメージ
イントロが爽快に響いたあと、ボーカル片岡健太の歌声が入ってきます。すでにイントロで「明るく軽快」という土台ができているため、歌声はそれを補強するように自然に耳に入ります。
また、sumika特有のバンドサウンド――ギターのカッティングやバンド全体のリズム――も、イントロの流れをそのまま継承しています。つまり「Lovers」のイントロは単なる導入ではなく、曲全体の設計図のような存在なのです。
イントロで「色」と「方向性」を明確に示すからこそ、サビに到達したときに「やっぱりこの曲は気持ちいい!」という納得感が得られます。
6. まとめ:なぜあのイントロは心をつかむのか
「Lovers/sumika」のピアノイントロが魅力的なのは、
- ピアノが伴奏ではなく“主旋律”を担当している
- リズムを軽く跳ねさせることでポップさを強調している
- 曲全体の雰囲気をイントロだけで提示している
という3つの理由に集約されます。
シンプルに聴こえる音の裏には、きちんとした仕掛けと設計があります。その「さりげなさ」こそが、ポップスの奥深さであり、sumikaというバンドの持ち味なのです。
次に「Lovers」を聴くときは、イントロの一音一音が「ポップの魔法」をかけていることを、ぜひ意識してみてください。そうすると、聴き慣れた曲がもう一段深く楽しめるはずです。
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