コードを覚えれば、ピアノはもっと楽しい
僕は、ピアノがうまくない。
それはもう潔いくらいに。
クラシックの譜面を開けば、2小節で手が止まる。
けれど、コードは好きだ。もう20年以上、趣味で作曲をしてきて、そのたびに助けられてきた。
「ピアノって難しそう…」
「楽譜が読めないと無理でしょ?」
そんな声をよく聞くけれど、コードさえ知っていれば、案外ピアノは弾けるし、音楽が身近になる。
今日はそんな“音の積み木”=コードについて、やさしく、ちょっと寄り道しながらお話ししようと思う。
コードとは?
コードというのは、簡単にいえば「音の組み合わせ」だ。
具体的には、3つ以上の音を同時に鳴らした“かたまり”のこと。
たとえば「ド・ミ・ソ」。これを一緒に弾けば、それは「C(シー)」というコードになる。

コードは、“ハーモニーの略地図”のようなもの。
これを理解すれば、「この曲、なんとなく弾ける」状態に一歩近づける。
ちなみに、コードを読むのに譜面は必要ない。
アルファベットと数字が読めればOK。ローマ字で名前を書く感覚で、誰でも扱える。
メジャーコードとマイナーコード
コードには「メジャー(明るい)」と「マイナー(暗い)」がある。
C(ド・ミ・ソ)はメジャー。Cm(ド・ミ♭・ソ)はマイナー。
「ミ」と「ミ♭」の違い。これが明るいか、ちょっと物悲しいかの分かれ道になる。
ちょっとした例え話をしよう。
- メジャーコードは「夏休みの昼下がり、窓からセミの声が聞こえてきて、かき氷を食べてるときの気分」
- マイナーコードは「夏の終わり、学校帰りに友達と別れたあと、ひとりで見上げた夕焼けの空」
みたいな感じ。情緒が違うのだ。
コードの第一歩
最初は「C」「G」「Am」「F」あたりの4つを覚えるといい。
なぜかというと、この4つだけで弾ける曲が世の中には山ほどあるからだ。
C=ド・ミ・ソ
G=ソ・シ・レ
Am=ラ・ド・ミ
F=ファ・ラ・ド
最初は、鍵盤の「ド」から始まる白い鍵盤だけでこれらを押さえてみよう。
黒鍵は後回しで大丈夫。ピアノの“白鍵しばり”でも音楽は成立する。
まずはCコードで覚える
コードを覚えるときのコツは、「C(ドミソ)」を基準にすること。
なぜなら、「C」はピアノのド真ん中にあり、構造がシンプルで覚えやすいからだ。
例えば、
- Cの形(ド・ミ・ソ)を覚えたら
- 一つ右にズラせばD(レ・ファ♯・ラ)
- さらにズラせばE(ミ・ソ♯・シ)
といった具合に、パターンをつかむと他のコードも覚えやすくなる。
ピアノソロにおける左手のコードの弾き方
ここが実はミソだ。
ピアノでコードを弾くとき、多くの人が右手でメロディ、左手でコードを担う。
が、それではすぐに音が濁ってしまったり、指が足りなくなって挫折する。
そこでおすすめなのが、左手は“ルート音”、すなわち一番低い音だけにする方法。
つまり、Cのコードを弾くとき、左手は「ド」だけを低い位置で鳴らす。
それだけでも、右手でコードやメロディを弾けば、バランスがとれる。
そして「ドーン」という低音が入ると、それっぽく聴こえる。
慣れてきたら、左手も3和音に挑戦してみる。
でも最初は「ド」だけでも全然OK。
転回形(コードの転回)
「転回形」とは、コードの並び順を変えること。
たとえばC(ド・ミ・ソ)を「ミ・ソ・ド」とか「ソ・ド・ミ」にする。
音の“素材”は同じでも、見た目や響きが少し変わるようなイメージだ。
このテクニックを使うと、指の移動距離が減る。
つまり、弾きやすくなる。
しかも、音の流れがなめらかになるから、音楽的にも美しい。
プロのピアニストが自然にやっていることだけど、実は初心者こそ知っておきたい、便利なテクニックなのだ。
まとめ
ピアノが苦手でも、コードの知識があれば音楽は楽しめる。
すらすら弾けなくても、音楽は作れるし、感じられる。
これは僕が20年、作曲と向き合ってきて強く感じていることだ。
最初の一歩は、ドミソだけでもいい。
音を重ねて、少しずつ響きを覚えていくと、
それだけで音楽はぐっと近づいてくる。
「楽譜が読めないから……」なんて思わずに、
今日から“コード”という名の、音の積み木で遊んでみてほしい。
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